【秘湯山旅】#1法華院温泉山荘

九州

「秘湯」とは、昭和50年に「日本秘湯を守る会」という小さな山の温泉宿が集まり発足した集団により作られた造語。所属する会員宿は、交通が不便で収容力も少ないが、温泉のよさを守り自然環境の保持、保全に真摯に取り組んでいる温泉宿が名を連ねている。そんな秘湯に山をひたすら歩いてたどり着く、それこそが「秘湯山旅」。シリーズ化の見通しは全く見えていないものの、とりあえず初回はみんな大好き九重連山の法華院温泉をリサーチしてきた。<文/写真:Yuki Fujimura>


山に籠り湯に浸かる、これが「秘湯山旅」だ!

「日本秘湯を守る会」の会員宿の中には、山道を長時間歩かなければ辿り着けないような場所もある。重い荷物を背負い長時間山道を歩く。目的地に辿り着き、電波も入らない山間の宿で秘湯に浸かりながら旅の疲れを癒す。この「秘湯山旅」は、旅先の情報収集や交通アクセスが容易となり、instagramで見つけられた”映える”スポットを巡ることで消化されていく現代の旅のスタイルと対極にあり、改めて旅の良さを実感できるのではないだろうか。

日本秘湯を守る会から出版されている書籍


今回の旅のルートは、ざっくり以下。
熊本空港からくじゅうは近く、当日のうちに法華院温泉まで辿り着ける。
DAY1 熊本空港→長者原登山口→法華院温泉
DAY2 法華院温泉→久住山→下山(熊本泊)
DAY3 熊本新港→島原港→富津港→帰宅(熊本空港発)

レッツゴーくじゅう!

熊本空港に到着。時間があれば雲仙に渡り釣りを楽しむ予定。


熊本空港でレンタカーを借り、阿蘇のカルデラを通りながら1時間半ほどかけて長者原ビジターセンターへ向かう。熊本空港からくじゅうに向かう際に通る国道11号のやまなみハイウェイの景色は、ダイナミックなくじゅうの山を見ながら途中阿蘇牛のアイスクリームなんてものも食べれちゃう日本の名道100選の一つ。景色に興奮して鼻息荒くしているとあっとゆう間に登山口の長者原へ到着してしまう。

ちなみに「くじゅう」って「九重」なのか「久住」なのかみんな迷って困っていると思うんですが、これは調べるとすぐ出てきて、「九重」は火山群の総称で、久住は主峰の山(久住山)を指すようです。ちなみに九重連山の麓には九重町(ここのえまち)なんて場所もあり、間違いやすさを助長している。

長者原登山口から坊がつるへ。12月初旬はまだ冬を待つ”晩秋”の九重だが、平日だったこともあり人は少ない。そしてラムサール条約登録湿地の坊がつるはとにかくだだっ広かった。
法華院温泉に到着。約2時間かけて歩き辿り着く九州で最も標高が高い温泉、これぞ求めていた秘湯。
宿はとても綺麗だし、生ビールは置いているし、薪もある。(完璧)


長者原ビジターセンターから2時間ほどで法華院温泉に到着する。
テント場の受付を行うとともに生ビールを入手。広大な山中で飲むビールは堪らない。そしてなんと9、10がつく日は「くじゅうの日」ということで、なんと今日は12/9なのでテント泊代が半額で400円だった。流石に安すぎるだろ、不安になるわ。こういった予期せぬサービスを知らずに受けるとお得感が増す。

生ビール片手に今日の宿へと向かう。
坊がつるを見下ろすことができ、ウッドデッキで寒さも地面からの冷気も緩和できるテン場。


テントを張り夜の焚き火に向けた薪割りもしっかりと終え、待望の風呂へ行くことにする。

秘湯✖️焚き火=幸甚の至り

この日は宿泊者もおらず、私とT.D氏の貸切。
法華院温泉は洗い場はなく、大きな浴槽のみが一つある。お湯はかなり熱めの43℃、くじゅうの麓にある黒川温泉などはトロッとした成分濃いめの温泉もあるが、法華院温泉のお湯はサラッとした私好みのお湯。大きな湯船でじっくりと温まり、浴槽外にあるテラスで晩秋の九重の風を浴びる。この行動は変態と紙一重ではあるが、繰り返し行うことでサウナに負けず劣らずの良質な整いを感じることができる。

法華院温泉のHPより写真を引用。泉質はカルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で、効能はうつ状態、きりきず、自律神経不安定症、耐糖能異常(糖尿病)、皮膚乾燥症、末梢循環障害、冷え性、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、胃腸機能の低下(胃がもたれる) 、腸にガスがたまるなど)、運動麻痺における筋肉のこわばり、関節リウマチ、軽い高コレステロール血症、軽症高血圧、健康増進、五十肩、腰痛症、痔の痛み、神経痛、打撲、捻挫、疲労回復、変形性関節症 など多岐にわたる。
温泉後は焚き火と持ち寄った酒で宴会。

しっかりとお湯で温まった後は、湯冷めしないよう焚き火で暖をとる。焚き火台はニンジャファイヤースタンド。
巻物のように収納できるフォルムにも興奮するし、山旅でもザックのサイドポケットに忍ばせ持ち運べるコンパクトさ、大きな薪も十分にくべられる耐久性、キャンプでも十分通用するこのUL焚き火台の優秀さを改めて実感。

焚き火のおかげで湯冷めすることもなく、酒と満天の星空を楽しむ。こんな贅沢なことがあって良いのだろうか。

そしてアースに浸る

朝5:00に起きて山頂でご来光を拝むべく出発する。法華院温泉から北千里ヶ浜までは気持ち急登なのだが、急登を抜けてしまえば後は火山特有の自然のダイナミックさを感じられる山歩きが待っている。

翌朝は久住山でご来光を拝む。法華院温泉から久住山は約3時間の道のりだが、荷物をデポできるので足取りも軽い。北千里ヶ浜から見る三俣山の景色は何度も振り返ってしまう。
星生山と久住山の分岐で朝陽を迎える
正面に見える阿蘇山。数万年前の噴火で作られたこの雄大なカルデラを特等席で見ることができる。

ご来光のタイミングで数人とすれ違ったが、やはり人は少ない。やはり晩秋から初冬に訪れるくじゅうはかなりおすすめ。

天狗ヶ城の直下にある御池は分厚い氷に覆われていた。氷上を歩くオプションサービスも楽しめる
満足を通り越して至高の域に達した九重山旅。熊本の街へ下山する

アフターくじゅう

くじゅうから熊本の街へ下山。余韻に浸りながら深酒してしまい、完全に飲みすぎてしまったようだ。気づいたら深夜にバーで卓球をしていた。

最終日は島原港にカーフェリーへ向かう予定なのだが、9:25の便はホテルで起きた瞬間に出発していたため、即座に11:10の便に照準を合わせる。帰りの便も考慮するとほとんど釣りはできないが、時間がなくても竿を投げることに意味があるんだ!そう思って自分を奮い立たせる。

大量のカモメとともに渡航
島原の富津港堤防。港の時間の流れ方には毎度癒される。テトラからのエギングは、正味3-40分しか竿を振れず流石に釣れなかった。
雲仙普賢岳をバックに熊本へ戻る。1991年に大規模な噴火があった、当時の記憶はほとんど無いものの雲仙普賢岳は活火山で危険だ、という感覚だけは残っていた。

荷物を背負ってひたすら歩き、見渡す限り山しかない山奥で温泉に浸かるという現代では非効率的とも思われる秘湯山旅だが、古くから残る登山道と温泉になぜか風情を感じた。140年の歴史がある法華院温泉、一度は訪れるべき名湯かと思います。

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