2017年に台湾五岳の一つである南湖大山を登頂した。
当時は台湾登山の情報も少なく、色々なサイトやブログから情報を集めて計画を練り、決行に至った。今回は台湾登山の準備から実際の登頂までの記録を残していきたいと思います。<文/写真:Yuki Fujimura>
旅のきっかけ
2017年夏、ひどい湿気と終わりのない仕事に苦慮しながらPCに向かい、密かに台湾登山の計画を立てていた。
台湾に”山”というイメージはあまり無いかもしれないが、国土の中で山が占める割合は高く、3,000mを越える山が269もあり、島国でありながら日本にも負けない”山大国”である。
そんな台湾の山に興味を持ったのは山と道の台湾登山ルポを読んだ時。
「台湾はこんなに山があるのか‼︎お隣の国で3,000m峰縦走ができるなんて知らなかった‼︎」と思ったことがきっかけだった。すぐさまいつもの仲間に声をかけ会社の同期3人の予定を抑え、少ない情報をかき集めて計画を具体化し、11月に現地へ向かうこととなった。
そんな経緯で決行された5泊6日の台湾登山旅について、準備編と本編に分けて書いていく。
台湾の山について
先述のとおり台湾には標高3,000mを越える山が296存在し、最高峰の玉山(Yushan)は3,952mで富士山よりも高いのである。また3,000m峰のうち100つの山を台湾百岳として定めており、特に素晴らしい5つの山が台湾五岳(玉山、南湖大山、雪山、秀姑巒山、北大武山)と称されている。
今回の旅では、「最高峰の玉山も捨てがたいが、せっかくなら観光地化されていない現地の自然を感じたい」と考え、台湾五岳の中で登頂までのアプローチも長い標高3,742mの「南湖大山(Nanhuda Shan)」を目指すこととした。
南湖大山について
台湾五岳の一つである南湖大山は、中央山脈の北部に位置しており太魯閣国立公園の中にある、標高3,742mで台湾第五の高峰である。トレイルは森林限界までが長く、日本の南アルプスに近いような原生林が広がる。3,000m付近で森林限界を超え稜線に出る、危険個所は少なく歩きやすい。ピークを踏みながら縦走することが可能。
山小屋はトレイルヘッドである思源埡口(もしくは勝光)に最も近い「雲稜山荘」と、山頂直下の広い台地にある「南湖山荘」がある。いずれも無人小屋で、寝袋やマットを持参することで宿泊が可能。日本のトレイルにある避難小屋と似たイメージで、炊事も可能だが水場は無い。雨水を貯めるタンクがあるため煮沸すれば利用も可能だが、基本的に3泊4日で必要な水は担いで登る必要がある。
準備について
1.パーミット
台湾登山においては、現地警察への入山許可書申請と、国立公園内への入園許可証が必要となる。南湖大山の場合は太魯閣国立公園への申請が必要であり、登る山ごとに申請先が異なる。
細かい申請方法は、山と道の台湾登山ルポを参考にすると非常にわかりやすい。
申請のポイントとなるのは以下2点。
①台湾現地での連絡先
②台湾現地での緊急時連絡先
①は台湾用のSIMカード等を利用し、自分の携帯番号で代替することが可能。
②は現地滞在先の連絡先が必要となる。(我々は最終日に滞在させていただくホテル(Cho Hotel)を連絡先にさせていただいた)
2.現地の物資調達
登山に必要な食料やOD缶などの物資も現地で調達する必要がある。台北にはアウトドアショップが多く特に困ることはなかった。台北と南湖大山登山の玄関口である宜蘭(イーラン)で立ち寄った店についていくつか記載する。
- 台北エリア
⚫︎登山友
台北駅から近く基本何でも揃う。
地図やガスなどの準備はここですると良い。
⚫︎Cow Records
山と道とも交流があるイケてるお店。
日本のガレージブランドを多く取り揃える。 - 宜蘭エリア
⚫︎Outdoor sports store
品薄ではあるが地図やガスも揃う。
登山前の最終準備として最適。
3.アクセス
最後に登山口までの交通アクセスについて。
台北から少し南にある宜蘭(イーラン)という町から、トレイルヘッドである思源埡口(もしくは勝光)までのバスが出ている。台湾はバスが充実しており、台北→宜蘭、宜蘭→登山口までそれぞれ高速バスがある。
- 台北→宜蘭
高速バスで1時間半程度。
「國光客運」という会社が運行しており、台北駅の高速バスターミナルから乗車でき比較的本数も多い。バス内はUSBポートやWi-Fiもあり快適なバス旅でした。 - 宜蘭→登山口(思源埡口)
バスで3時間程度。
こちらも「國光客運」で宜蘭⇔梨山1751バスに乗り「思源派出所」で下車します。本数は1日2本(7:30、12:40)であるため要注意。登山口から宜蘭への帰りは、「思源派出所」のバス停に10:30(または15:30)頃にはいた方が良い。
行程について
最後に行程について。
事前に入手した地図や他の方のブログを見ながらざっくり行程を整理した。もちろん台北、宜蘭での大好きな夜市巡りも忘れない、山と街のハイブリットプランにした。
day1
08:00→10:00 羽田→台北
16:00→18:00 台北→宜蘭宿泊
day2
07:30→10:30 宜蘭→ 思源埡口(登山口)
11:00→16:00 思源埡口→雲稜山荘テント泊
day3
09:00→11:30 雲稜山荘→審馬陣山
11:30→13:30 審馬陣山→南湖北山
13:30→15:30 南湖北山→南湖山荘テント泊
day4
06:00→08:00 南湖山荘(デポ)→南湖大山
11:00→15:30 南湖山荘(撤収)→雲稜山荘テント泊
day5
05:00→10:00 雲稜山荘→思源埡口
10:30→13:30 思源埡口→礁渓温泉
→その後台北へ移動し宿泊
day6
台北→羽田へ帰国
このような計画で、5泊6日の台湾山旅が始まった。
詳細は本編へ続く。
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